Blog・Column
ブログ・コラム
-
【仮設電源工事】建築現場・イベント・災害対応に必須!申請・設計・安全運用のすべて
2025年11月4日「現場で電気が使えない」「イベントの照明と音響を安全に動かしたい」「短期の増設電源が必要」——そんな時に行うのが仮設電源工事です。
結論:負荷計画(必要容量)→ 受電方式の選定 → 申請・計器設置 → 分電・配線 → 安全運用の順で進めれば、短期利用でも安全・確実・低トラブルで運用できます。本記事では、工事現場・イベント・仮設事務所・災害時電源までを想定し、費用相場・流れ・安全基準・業者選びをわかりやすく解説します。
仮設電源工事とは?対応できる範囲
H3:仮設電源の目的と利用シーン
- 建築・解体・土木:工具、揚重機、仮設事務所、仮設トイレ、照明
- イベント:ステージ照明、音響、キッチンカー、屋台、場内照明
- 商業施設の改修:夜間工事の電源や営業継続のための一時電源
- 災害・停電時:復旧作業用や地域拠点の一時給電(発電機併用)
H3:受電の方式(代表例)
- 臨時電灯(単相100/200V):小〜中規模の工具・照明
- 臨時電力(三相200V):大型機器・コンプレッサ・ホイスト・大型照明
- 発電機(自立):電力系統が引けない場所/BCP用途(防音型・インバータ型など)
- 常設盤からの一時分岐:テナント改修などで一時的に仮設分電盤を増設
設計の要点:まずは“必要容量”の見積もりから

H3:負荷計画(kVA/kW)
- 使う機器の定格消費電力/電流を洗い出し
- 同時使用率(同時に動く割合)を設定
- 起動電流が大きい機器(モーター・コンプレッサ・照明の突入)を考慮
→ これで**契約容量(目安)**を決定します。
H3:分電設計と保護
- 主幹ブレーカー(漏電遮断器):感度・フレーム・分岐数を適正化
- 回路分け:動力/照明/コンセント/屋台・キッチンなど系統分離でトラブル局所化
- ケーブル選定:距離と電流で太さ(電線サイズ)・電圧降下を計算
- 接地(アース):仮設分電盤・金属躯体への接地を実施(例:D種接地は100Ω以下目安※、漏電遮断器併用で緩和条件あり)
※現場条件・法令解釈により要件が異なるため、電気工事士が現地で適合値を確認します。
申請・段取り:いつ、何を出す?
H3:電力会社への手続き(系統受電の場合)
- 臨時(仮設)契約の申込み:使用場所・期間・容量・単相/三相・計器位置の情報を提出
- 計器(メーター)設置:電力会社または委託事業者が設置
- 使用開始:検査・点検後に通電
目安:申請〜通電まで数日〜1〜2週間程度(繁忙期・設備状況で変動)
H3:許認可・関係調整
- 道路占用・占用許可(仮設ケーブルの横断が必要な場合)
- 会場・施設管理者との協議(引込位置・ケーブルルート・騒音・夜間作業)
- 消防・保安:イベント時の退避通路・防火計画と干渉しない配置
施工の流れと期間
- 現地調査:受電位置、ルート、距離、敷地状況、雨仕舞い、接地可否
- 設計・見積:単線結線図、盤仕様、ケーブル径、保護素子、工程案
- 申請・手配:電力会社・計器・仮設分電盤・ケーブル・防護材・発電機(必要時)
- 施工:引込/盤設置/接地/配線/表示・標識/絶縁・導通・漏電試験
- 検査・通電:試運転、分岐ごとの電圧・電流・漏電確認
- 運用・巡回:ケーブル保護・雨天養生・過負荷監視・記録
- 撤去・原状回復:撤去届、廃材処理、地面・壁補修
工期の目安
- 小規模(屋外イベント100V中心):半日〜1日
- 中規模(建築現場の電灯+動力):1〜2日(申請期間は別途)
- 大規模(広域イベント・長距離配線):2〜4日+試験
安全運用のチェックリスト

- 主幹:感度付き漏電遮断器(例:30mA/0.1s 等、用途で選定)
- 屋外防水:盤・接続部はIP54相当以上や防雨ボックスで養生
- ケーブル保護:通路はプロテクター・スロープ、車両通行は埋設または鉄板養生
- 配線の束ね禁止:ドラムコードは巻いたまま使用禁止(発熱・火災リスク)
- 系統ラベリング:回路名・容量・注意表示、誰が見ても分かる表記
- 接地・等電位:金属フレーム・仮設足場等の接地連系を確認
- 巡回点検:雨天後・多湿・高負荷時間帯に温度・漏電の巡回記録
- 停電対策:重要機器はUPS/自動再起動設計、非常用灯の確保
費用相場(目安・税込)
費用は容量・距離・期間・申請有無・屋外条件で大きく変動します。
項目 目安費用 小規模イベント(100V・20~40A、盤・配線一式・1日) 5万〜15万円 建築現場(電灯回路+三相動力 30〜75kVA) 20万〜80万円 仮設分電盤レンタル(月) 5,000〜20,000円/台 仮設ケーブル(太物)レンタル(月・1本) 3,000〜15,000円 発電機(防音型 10〜50kVA/日) 2万〜10万円 申請・計器関連(電力会社手続き諸費用) 数千〜数万円 ケーブル養生・道路占用関連 実費+申請手数料 コストを抑えるコツ
- 同時使用率の見直しで契約容量を最適化
- ケーブル距離の短縮(盤位置の工夫)で線材・電圧降下を低減
- レンタル活用(盤・ケーブル・防護材)で初期費用を抑制
- 夜間・休日の割増や道路占用など追加条件をあらかじめ見積に反映
よくある不具合と対処
- ブレーカーが落ちる:過負荷/起動電流過大 → 回路分け・容量見直し・ソフトスタート機器の採用
- 機器が誤作動:電圧降下・ノイズ → ケーブル太化・距離短縮・ノイズフィルタ・アース改善
- 雨天で漏電:接続部の防水不良 → コネクタ防滴、ジョイントボックス化、養生徹底
- 人のつまずき・車両接触:配線露出 → プロテクタ・埋設・立入導線の変更
業者選びのポイント(E-E-A-T)
- **電気工事士(第一/第二種)**が在籍し、登録電気工事業者である
- 臨時受電の申請経験が豊富(電力会社との段取りが早い)
- 単線結線図・負荷表・安全計画の提示、施工写真・試験記録の提出
- 保険加入(施設賠償・請負賠償)、**労安全(KY・RA)**の運用
- レンタル手配力(盤・ケーブル・発電機・プロテクタ・照明塔)でワンストップ対応
まとめ|仮設電源は「計画8割・運用2割」

- 負荷・距離・起動特性を押さえた容量設計
- 申請・計器・盤・ケーブル・接地までの一気通貫
- 雨・人流・車両に強い安全運用と点検
この3点を満たせば、工事現場もイベントも止まらない電源になります。まずは使用機器リストと配置図(ラフでOK)を用意し、現地調査→設計→申請→施工の順で進めましょう。
よくあるご質問
-
いつ申請すれば間に合いますか?
-
規模にもよりますが、申請〜通電に数日〜1〜2週間かかる場合があります。機器リストが固まり次第、早めの申請がおすすめです。
-
1日だけの小規模イベントでも対応可能?
-
可能です。発電機+仮設分電盤や、近接の常設盤からの一時分岐で対応します(事前協議が必要)。
-
発電機の騒音・排気が心配です
-
防音型発電機の選定、風下配置・離隔、排気ダクトで対策します。夜間は騒音基準に注意。
-
途中で機器が増えたら?
-
主幹・分岐容量と電圧降下を再確認し、回路追加や発電機増強で対応します。無断増設は厳禁です。
-
雨天や強風でも安全に使えますか?
-
防水・養生・固定を徹底すれば運用可能ですが、雷注意報・強風時は停止や巡回頻度増など安全側運用が原則です。